様々な問題がありながらも、人手不足の解消に一役を買ってきた外国人技能実習制度ですが、定期的な改正があります。

これはどんな制度でも同様ですが、問題が出て、改正を重ねてよりよい制度としていくことが政府の目標です

一時期、外国人の雇用者である技能実習実施者の権限が強すぎるために多くの実習生が劣悪な労働環境で働くことを余儀なくされていましたが、それに対する対策を年々規制強化する意味で改正が重ねられてきました。

今回は外国人技能実習制度の変更点とそれに伴う注意点を考えていきます。

技能実習計画の認定が必要

昨年11月に「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が成立しました。これは「技能実習法」と呼ばれる新しい法律で、今までの外国人技能実習制度をさらに有効に、実習生保護とともに外国人人材の活用を促進するために成立しました。

この法律により、今まで必要なかった届け出も必要となることがあります。

その一つ目は「技能実習計画」の届け出です。

技能実習とは言っても、今までは実習という名の労働で、中にはパスポートを取り上げての「強制労働」のようなこともやらされていた実習生もいたため、社会問題となっておりました。

しかし、技能実習法制定後は、雇用者による技能実習計画の届け出が義務付けられます。

この技能実習計画の中には、実習期間や監理団体など基本情報の他に、どのような実習を何時間行うのかを記載する項目もあります。

さらに実習に使用する素材、工具機材、どのような製品を製造するのか、指導者の名前など細かい内容まで記載する必要があります。

今までは監理団体、受け入れ企業などもグレーな会社が多く、実習生にどのような作業をしているのかを監督省庁は管理しきれていないような状態だったのを是正する狙いがあります。

この技能実習計画書の届け出により、外国人技能実習生はどのような業種に従事し、何時間ほど労働するのかを把握しやすくなります。

優良技能実習実施者の優遇

今まではどれだけ技能実習生に対して真摯に向き合い、人道的な扱いを行ったとしても、技能実習期限である3年間が来てしまえば、帰国させなければなりませんでした。

今後は、所定の要件を満たした「優良実習実施者」として認められた場合、現行の3年から5年に延長されることが決定されました

これで技能実習を行う受け入れ企業も、技能実習生をよく扱ったらその見返りがあるような制度となるようなものとなっております。

監理団体の許可申請も厳しくなります

今までより外国人技能実習生の監理団体の審査が厳しくなります。

これは、問題のない監理団体もあったのですが、一部ブローカーのような監理団体も存在したため、こうした監理団体を排除することが目的です。

新しく新設される外国人技能実習機構の予備審査を経て、登録される形となります。

今までなかった定期的な技能実習計画の届け出などもこの外国人技能実習機構へ行わなければなりません。

これにより、今まではほとんど無審査であった監理団体の届け出の規制強化を図ることを目的としています。

きちんとしていた監理団体にとっては大きな手間となってしまいますが、それだけ外国人技能実習生の労働環境の改善に政府が本気になっているということです。

技能実習3号の新設

外国人技能実習生に関する新たな優遇措置も新設されます。

外国人技能実習生が5年まで日本に滞在する場合、3年目に技能実習3号の在留資格を取得することができるようになります。

その場合、実技試験があり、その試験に合格することと、4年目に入る前に一か月以上の帰国が義務付けられます。

また、監理団体や技能実習受け入れ企業も優良であるということが条件となっており、4年目以降も働く場合のハードルが少し高くなっています。

この4年目以降も働く場合には、技能実習生本人ももちろん、監理団体や受け入れ企業との連携などもとても重要となってきます。

優良な受け入れ企業(実習実施者)の条件

では、5年まで技能実習生を受け入れることのできる優良な受け入れ企業とはどのような条件があるのでしょうか?

それぞれの状況に応じて、満点120点から点数を加算し、6割(72点以上)であれば優良な実習実施者と認定されます。

・過去技能実習検定の合格実績

外国人技能実習生に技能実習検定を受験させ、どれだけ合格させたかという基準となります。どの水準になれば、基準に達するかなどの詳細はこれからとなります。

・技能実習を行わせる体制づくり

社員に技能実習指導員や生活指導員の講習受講歴があるかを判断します。

・技能実習生の待遇

1号技能実習生の賃金や最低賃金との比較、賃金の上昇率を確認します。

・法令違反、問題の発生状況

過去三年間に法令違反や改善命令などを受けていないかを審査します。
これは法令違反が重大なものと判断されると大幅なマイナスとなるとも明記されています。

・相談支援体制

母国語で相談できる相談員などがいるかというものです。

・地域社会との共生

実習生に日本語学習をする機会を与えたり、日本文化に触れる機会や地域との交流があるかどうかを判断します。

まだ、優良認定が始まる前となりますので、概略のみが記載されており、実際の運用時には様々な変更等が出てくる可能性があります。

技能実習制度の問題点を改善するための改正

米国務省は2015年の人身売買報告書の中で、日本の外国人技能実習制度を「強制労働」と報告し、強く批判しました。

現在の外国人技能実習制度はこうした批判もあり、世界的にみても評判はよくありません。実習生と良好な関係を築けている企業であっても、世間の目は技能実習生を扱っているのだから、あまりよくない企業なのでは?と思われてしまうこともあります。

しかし、日本の人手不足は待ったなしの対応を求められています。制度に欠陥があってもそこに企業の外国人労働者の需要、技能実習生の日本で働きたい供給がマッチして、現在まで制度は存続してきました。

しかし、これからはこの状況を静観していた政府が、規制強化に乗り出すことは明らかです。

外国人技能実習生を受け入れようと考えている経営者の方は、新制度についてある程度知っておいた方がよいでしょう。

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