外国人労働者が介護や看護の現場で働いているのを目にする機会が多くなってきました。技能実習などで来日することが多いですが、介護や看護などは人命にも関わるものですので、別の基準が設けられております。特にフィリピン人が介護や看護の現場で働くようになったのは両国政府間の経済協力があるからとも言えます。

外国人(特にフィリピン人)が介護や看護の現場で働くにはどのようにすればよいのでしょうか?

日本とフィリピンの経済連携協定

平成18年9月に、日本とフィリピンの間で関税の撤廃などの内容を盛り込んだ日・フィリピン経済連携協定が締結されました。

これにより、バナナやパイナップルなどのフィリピンから輸入する品目についての関税の撤廃及び減額する代わりに、自動車や鉄鋼といった日本からの輸出製品についてのフィリピン国内での関税を撤廃することになりました。

現在、締結が滞っておりますが、日本とフィリピンの間のTPPに似た内容です。

この協定の中に人の移動を積極的に行うという条文があり、その中にフィリピン人看護師、介護福祉士の日本での受け入れが記載されております。

フィリピンから看護師、介護士が多く来日しているのはこの経済連携協定によるものとなります。

フィリピンから看護師として来日する場合

では、フィリピンから看護師として日本に来る場合、どのようなプロセスを経て日本に来るのでしょうか?

まず、母国フィリピンで看護系の大学を卒業し、3年間の実務経験を積んでいることが前提条件となります。さらに日本語能力検定でN5(5級)相当以上の実力があることが求められます。

その後、日本への看護師として働くための斡旋団体による日本語研修を母国と日本で一年間受講します。

日本語研修を受講後、各雇用先の病院等で実務に当たります。

そこまで来て初めて「看護師候補者」として、各病院で看護師の補助業務に当たるが出来ます。

日本の看護師国家試験を取るまでは日本に期限付き滞在

看護師候補者として、日本語を学習しながら看護師の国家試験に合格する必要があります。合格できなければ、三年間で三回まで試験を受験することが出来ますが、合格できなければ帰国しなければなりません。

近年、この看護師候補者の看護師国家試験合格率が低く、候補者への負担も大きくせっかく来日しても帰国してしまう人が後を絶ちませんでした。

せっかく実務に慣れてきても、看護師国家試験に合格するという高いハードルを乗り越えなければ、事実上無期限で日本にいることが出来なくなってしまいます。どれだけ、患者や職場からの評判がよくても、帰国しなければなりません。

これは本人や職場にとっても大きなダメージとなります。最近では、看護師に合格してもらおうと病院を上げてサポートするようなケースもあります。

介護福祉士として来日する場合

介護の現場で働く場合、看護師よりも条件が緩和されております。

四年制大学を卒業し、フィリピンで介護の資格を取得していれば、実務経験は問われません。看護師の場合と同じように斡旋団体による日本語研修の後に、「介護福祉士候補者」として、日本の介護施設などで働くようになります。候補者は期間中に四年の期間のうちに介護福祉士国家試験に合格しなければなりません。

介護福祉士の場合、受験ができる回数は一回のみとなります。

4年間の間は、介護福祉候補者として、ただでさえ人手不足の福祉施設で働くことが出来ますので、介護の現場にとっては貴重な戦力となります。

看護師、介護福祉士資格を取得後……

看護師、介護福祉士を取得後、日本には4年ごとに就労ビザの更新をしなければなりませんが、実質無期限で滞在することが可能となります。

しかし、家族や女性の場合、夫を日本に連れてきたいと考えても家族の日本滞在許可が現在取得できない状態となっております。

そのため、資格を取得して日本に滞在することが可能になったとしても、様々な家庭の事情で帰国を余儀なくされているケースが見受けられます。

これはフィリピンや日本政府にも対応を検討してほしい内容でもあります。

看護師や介護福祉士として日本で働き続けることが認められても、外国人労働者にも日本人と同じように家族や親戚がいることがいることを認識してもらいたいものです。

看護師、介護福祉士候補者の国家試験合格率が低いため、特例措置に乗り出す政府

看護師や介護福祉士の国家試験に合格できないことで、せっかく多くの条件をクリアして来日したにもかかわらず、国家試験に合格できないがために帰国する候補者が多いことから、政府が特例に乗り出しました。

現在来日している看護師、介護福祉士候補者の中で、一定条件を満たした人は国家試験に合格できない形で在留期間を満了しても、特例で一年間の期間延長できるようになりました。

こうした対策を取らなければならないほど、看護師、介護福祉士候補者の国家試験合格率が低いという現状があります。

国家試験の合格率が改善しない主な理由

では、なぜ看護師、介護福祉士の国家試験合格率が改善されないのでしょうか?

その一つには「日本語の難しさ」があります。フィリピンではタガログ語が多く話されていますが、それと同等に英語も話されています。

どちらもアルファベット表記で、使われている文字数も少ないです。それに比べて日本語は、漢字、ひらがな、カタカナもあり、漢字など無数にあるといってもよいです。さらに漢字には読み方が複数あり、送り仮名など、日本人にとっては何も難しくないような内容でも、フィリピン人にとってはとても難解です。

それに加えて、看護師や介護福祉士の専門用語を習得して、試験に臨まなければなりませんので、高度な内容を要求されていると言えます。

もう一つは、現在、介護、看護の両現場では人手不足による多忙が挙げられます。看護師、介護福祉士候補生といえども実務を行い、賃金を得ながら国家試験合格を目指します。

そのため、なかなか日本語と国家資格試験の勉強に充てる時間が作れないという現状もあります。

こうした状況より、当初決めた在留期間では勉強の日数が足りないと判断した政府が、特例として一年間の延長を決めたということです。

これだけ苦労しても多くの看護師、介護福祉士と扱いが同じ

日本語の学習に加えて、試験の勉強もしなければなりません。さらに多忙な仕事を行いながらのものになりますので、寝る間も惜しむ生活となることは言うまでもありません。

これだけの努力をしなければならないため、在留期間途中で体調を崩してしまう候補生も多いでしょう。

また、これだけ血のにじむような努力をしても、日本人でも同じ国家資格を持っている人と扱いは同等となります。これでは、いくら制度上こうなっているとはいえ、フィリピンから来日した方としては「割に合わない」と思うことは少なくはないはずです。

看護師、介護福祉士候補者を雇用する場合は、サポートも充実させましょう

看護や介護の分野でも、看護師、介護福祉士候補者としてフィリピン人を雇用することができることが分かりました。

しかし、その雇用は試験合格が前提条件となっている非常にプレッシャーのかかるものであることがお分かりいただけたと思います。

その生活スタイルも日本語と試験勉強が多くを占める極めてハードなものです。

普段の仕事ぶりももちろんのこと、国家試験や日本語に関する勉強のサポートも行うことが望ましいでしょう。

それだけのハードな生活を送り、見事試験合格を果たした人の中には、「日本で恩返しをしたいから働き続けたい」と話している人もいます。

このような関係を継続できれば、看護師、介護福祉士候補者は優秀な職業人として働いてくれるに違いありません。

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