外国人技能実習生であっても日本の労働法に適用され、保護されています。

現在では不当な扱いを受けた技能実習生自身が労働組合ユニオンなどに相談したことから、報道機関などでも報道されることで多くの問題が知られるようになってきました。

今回は、労働条件の一つにもなる外国人技能実習生の寮(寄宿舎)についての規則を解説していきます。

外国人技能実習生の寮(寄宿舎)についての規定はあるか?

アパートなどの一人暮らし用の建物であれば、防火管理や災害対策などの観点による建築基準法があります。これによって、特定の広さには何部屋までという規定があります。

アパートにおける建築基準法のような規定が、外国人技能実習生の寮に関しても存在するのでしょうか?

古い規定ですが、厚生労働省が建設業の日雇い労働者などが寮として使用する建物の規則で、建設業寄宿舎規則というものがあります。

これは外国人技能実習生向けに作成された規則ではないのですが、アパートの一室に数人が共同で生活するような場合が多い外国人技能実習生にも共通した条件の規則と言えます。

しかし、この規則は一人暮らしの労働者が多い現在にあってはあまり改訂されておらず、古い規則のままとなっている部分も多く、注意が必要です。

外国人技能実習生に関する公的機関でもあるJITCOも、寮に関するガイドラインを作成公開していますのでそちらも参考にしましょう。

数人で共同生活をする寮は附属寄宿舎にあたり、届け出が必要

労働基準法では、数人で同じ部屋を共同で使用するような寮を設置する場合、附属寄宿舎にあたり、労働基準監督署に届け出を行う必要があることが明記されています。

外国人技能実習生の寮は、アパートの一室であっても数人で共同生活をする場合が多いと思いますが、こうした場合も寄宿舎規定を労働基準監督署に届け出る必要があります。

寄宿舎には、戦前からの長い歴史があります。昔も地方から出てきた人が借金をして、働くため寄宿舎に入るということが行われており、不当な生活環境を強いられたことが問題となった女工哀史などが発端となっております。

こうした状況が現在では外国人技能実習生に起こっている可能性が高く、労働基準監督署も目を光らせることになりました。

寄宿舎を設置する場合に行う寄宿舎規則は、寄宿舎自治や防火などに関する基本的な要件が記されております。

寄宿舎では人間的な生活ができる環境を整える義務が設置者(経営者)に求められています。

寮の広さについての基準はある?

外国人技能実習生であっても、まともに生活ができないようなくらいに部屋に人数を入れてはいけないことがわかっていても、そこまで広い部屋は準備できないという悩みのある経営者もいらっしゃると思います。

しかし、あまり外国人技能実習生の寮の広さについてはっきりと法律で明記されているものはありません。

JITCOのガイドラインでは、外国人技能実習生の寮の広さは6畳に2人程度の人数となるような広さであることが望ましいとされています。

実際にはこれ以上の人数を寮の一室で生活させている経営者の方も多いと思います。

ガイドラインではありますが、JITCOは送り出し機関として受け入れ企業の指導なども行っています。

特に近年、外国人技能実習生の不当な扱いが社会問題となってきておりますので、規制が厳しくなってきています。

現時点でこの基準をクリアできていない寮は改善を要求する指導などが来る可能性もあります。

寮の費用は適正価格?

寮の広さ以上に問題となっているのが、寮費の過剰請求です。日本語の分からない外国人技能実習生は、周辺の同様の条件のアパートを探すといったことができません。

そのため、受け入れ企業の準備した寮で生活をすることが絶対条件となってしまいます。

それをいいことに高額な寮費を請求して、見かけ上基準に即した賃金を支払っていても、寮費で取り戻していたという問題が外国人技能実習生の受け入れ企業で続出しました。

そのため、JITCOではガイドラインの中で、近隣の同物件と同程度とすること、寮費の請求には実習生本人の理解を得ること、一つの物件を複数人で入居する場合は賃貸料を人数で除した金額とすることとなっています。

至極当然な内容ですが、この寮費の部分で多くの受け入れ企業が不当な請求を行っていたことが問題となったためこうしたガイドラインが明記されています。

水道光熱費の規定

技能実習生の使用した電気やガス、水道と言った水道光熱費についてもJITCOのガイドラインには、実習生の使用した実費を超えた請求をしてはならないとされています。

これも当然のことを書いている規定ですが、この実費以上の請求をしていたことが技能実習生の生活を圧迫していたことが大きな問題となっていたためです。

技能実習生への過剰な寮費、光熱費の請求は中間搾取に当たる

外国人技能実習生の不当な低賃金が問題となったため、今度は寮費や光熱費を高くすることで、正規の賃金から差し引く率を上げて、見かけ上正当な賃金を支払っていても、実際には寮費で取り戻しているという状況が外国人技能実習生の生活空間でもある寮費の請求で行われていました。

当然のことですが、これも問題となったため、JITCOがガイドラインに明文化しました。

こうした寮費の過剰請求は、労働基準法で禁止されている中間搾取にあたるとされています。

外国人技能実習生に寮費を請求すること自体は違法ではありませんが、外国人技能実習生の生活が成り立たないレベルでの寮費の請求は違法行為となります。

また、どう見ても人間が生活できないような水道や電気などがない等の場所を寮として設置して通常の寮費を請求するといったことも、もちろん違法行為となります。

ガイドラインに則って、外国人技能実習生もきちんとした生活ができるレベルの住居を準備してあげる必要があります。

JITCOの問題報告を見ると、賃金に関するものと同様に寮に関するものも多い

JITCOの外国人技能実習生の受け入れ企業や監理団体を指導した記録を見ると、賃金の未払いや低賃金などの問題と同様に、寮に関するものも多く報告されています。

主に、老朽化しすぎた建物を寮とする、トイレのない建物を寮とする、寮費を過剰に請求するなど、寮費を安く見積もるか、高く請求するかで、技能実習生に寮を満足に使用できる状態としないようなものが多くありました。

寮費は賃金の中でも、一番大きい基礎費用となります。それが企業側に主導権があるのですから、悪い経営者であれば、これを利用して少しでも賃金を支払わないようにするといったことも考え付くことは容易に想像がつきます。

しかし、こうした行為が不当な労働基準法違反であることは言うまでもありません。

外国人技能実習生は日本人に比べて、日本の実情を知りません。

それを逆手に取った寮費の過剰請求などは、外国人技能実習生からクレームがないということでも決して許されるものではありません。

あまり外国人技能実習生を不当な扱いを続けると、外国人が日本に来なくなる?

外国人技能実習生の不当な扱いが多くの報道機関で報道されていますが、その問題がなくなる気配はありません。

それは、外国人技能実習生が日本に来てくれるからと言えます。

しかし、そんな状況はずっと続くとは限りません。

あまりに不当な扱いが母国などでも知られるようになれば、技能実習生として日本に来ることを避ける人も出てくるかもしれないからです。

技能実習生は、母国よりも為替の関係で有利な国で、制度が整っている国であればどこでもいいという人もいるかもしれません。

そうなると、現在経済発展が著しい中国などもそうした労働力を募集し始めた場合、そちらに流れてしまって、日本は人手不足でも外国人労働者も来ないという状況に陥ってしまう可能性すらあります。

現に、アメリカなどからは日本の外国人技能実習制度は強く批判されており、世界的にもあまり評判のいい制度とは言えないのが現状です。

そんな状況でも、外国人技能実習生を受け入れなければならない企業も多く存在するということが現状です。

そんな外国人技能実習生を有効に活用するためには、まずは生活基盤である寮の整備やガイドラインに即した適正な寮費の請求などの基本的なことの法令順守が、多くの外国人技能実習生を日本に惹きつけることにつながります。

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