ビルやホテルの清掃員は、宿泊客やビルに入居する人が気持ちよく利用するために必要不可欠な人材です。

清掃と一言でいえば簡単ですが、行うことは多岐に渡り、効率の良い清掃を行うことで、ビルやホテルが清潔に保たれ、建物の印象もグッと上がります。

こうしたビルやホテルの清掃を行う業界にも人手不足の波は例外なく押し寄せています。

今回は清掃を行う業界の人手不足の原因と対策について考えていきたいと思います。

競争の激化するビルメンテナンス業界

ビルやホテルの清掃業務は、ビルメンテナンス業に分類されます。ビルメンテナンス業は、近年の都心のビル建設ラッシュや訪日外国人増加によるホテル建設による建物増価により、業績も好調と普通は考えられますが、現実には異なっています。

特に清掃業務は従事する人には非正規雇用が多く、人が定着しない業界として有名です。

ホテルやビルが多く建設された背景には、外国人観光客の増加もありますが、都心再開発による地域活性化であり、オフィスビルの需要が増え続けているわけではありませんオフィスビルなどの多くは、供給過多に陥っているとも言われています。

ホテルでも同様で、新しいホテルが建設されていますが、多くの場合、価格競争を迫られ、広告宣伝費も多くかかることから、ビル清掃などに管理委託費が年々下げられている傾向が続いています。

同業同士での競争も厳しさを増す原因となります。

特別なスキルが必要ではないビル清掃業務は、やれる業者が多く存在するため、年間契約の入札などを行った場合、価格競争が激しく、利益や人件費が確保できないといった状況に陥ってしまうことがよくあります。

また、ビルオーナーやホテル経営者などから管理委託業務の契約を更新する際に、他の業者の見積と比較して、更新時の価格交渉を行われてしまうこともあります。

ビルメンテナンス業務は、圧倒的な不利な状況で競争をしなければならないのが実情です。

ビル清掃は人の入れ替わりも多く、ハードな職種

ホテルの客室清掃時間はおよそ午前10時から午後3時頃まで決まっています。

どんなホテルであっても客室に宿泊客がいない時間帯の間に、清掃を行わなければならないことは共通しています。

オフィスビルであっても、日中に清掃を行うことは少なく、多くは夜間休日による作業となります。

こちらも限られた時間での清掃対応が求められます。しかし、その業務にかかる人数は受託するビルメンテナンス業者によって様々です。

人件費を抑えるために、少ない人数で清掃業務を回している業者も少なくはありません。

無理なく業務を行える人数から一人から二人減らしたような状態で業務にあたるような場合、清掃を行う清掃員の負担となり、これも定着率を下げる一因となっております。

機械をつかうなどの効率化を行うことができるような場合は人数を減らしても問題ありませんが、ベッドメイキングなど手作業の多いホテルの客室清掃は、清掃員の労働負荷を高くします。

ビルメンテナンス業界の激しい競争の中、人を増やすことができず、作業員の人件費もまともに確保することの難しい昨今、ハードな労働を要求する清掃業務は不人気職種となっていきます。

そこに追い打ちをかけるように、景気回復による人手不足が襲ってきます。

コンビニのアルバイトなどもでも人を確保するために給与を上げる企業も出ていている中、人件費を抑えられているため、時間給を上げるような措置をとることが難しいのが、この業界の特徴です。

そのため、人が新しく入っても辞めてしまう、募集をかけても他の業種へ流れてしまい人が集まらないというような現象が起こるようになりました。

清掃作業員は、他の仕事をかかえながら行う人も多い

こうした清掃作業は、日中の限られた時間や夜間休日などに作業需要があるため、他の仕事を行いながら掛け持ちで行うような人が多いのもこの業種の特徴です。

日中の仕事を持っていて、それだけでは満足な収入が得られず、やむを得ず清掃の仕事を掛け持ちするというような人も多くいます。

よく芸能人などが売れない下積み期間にビル清掃のアルバイトをしながら生計を立てたという話もよくあるように様々な人がこの業界には入ってきます。

しかしその多くは、一時の収入源であり、他の仕事が軌道に乗るような場合は業界から離れていってしまうといったことがよくあります。

清掃員を雇う側もそれはよくわかっていて、人は入れ替わる前提で仕事を回しているような部分もあり、清掃業界の大きな特徴でもあります。

人材の定着に消極的だった清掃業界を襲った人手不足

ビルメンテナンス業界は、長年人材の定着に消極的だったため、賃金上昇率も他業種と比較しても低いままとなっています。基本的に募集をかけても人が集まらないため、他の業種のような業界に入るための年齢制限が存在しません。

しかし、昨今の人手不足と、政府を挙げての賃金上昇の波は、この業界の人手不足をさらに深刻化する事態に陥れています。

オフィスビルの建設ラッシュが続いていますが、ビル建設を行うような大手の不動産会社などは、子会社にビルメンテナンス会社を持っており、こうした会社が新築ビルのメンテナンスに入り、中小のビルメンテナンス会社は利益率が高い新築ビルの仕事を取りづらい状況が続いています。

こうしたことからより安く仕事を取得し、少ない人数で回すような状況がビルメンテナンス業界の低賃金を生んでいるものと考えられます。

ハードで低賃金となれば、他の仕事と比較してそちらに人材が流出してしまうことは阻止することができません。

ビルメンテナンスの業者で構成するビルメンテナンス協会はこうした状況を危惧し、ビルオーナーへ契約更新時の契約金額の見直しを要求する文書を発行し、賃金上昇に業界全体で努めるようになりました。

ビル清掃の人が集まらないという状況であれば、ホテルでは客室清掃が滞り、日常的なホテル経営を続けることができなくなります。オフィスビルであれば、清掃業務が滞り、ビルテナントが他へ移ってしまうというような最悪の事態も招いてしまうことになります。

全体的な賃金上昇の流れが、やっとビルメンテナンス業界にも浸透し始めたというのが最近のトレンドではありますが、まだまだ他業種と比べると遅れており、人材の確保が難しい状態が続いています。

ビル清掃は底辺業界と言われているが、なくてはならない業種

ビル清掃は、慣れてしまえば体力があれば誰でも作業が行うことができ、比較的人がいれば成立する業種でもあります。

しかし、こうしたビルやホテルの清掃業務は宿泊客やビルテナントの代わりにホテル経営者やビルオーナーが行わなければならない仕事を第三者に委託しているだけにすぎず、本来はオーナーが自社の建物のメンテナンスの一環として清掃を行わなければならなりません。

そうでなければごみであふれかえったビルやホテルは、誰もお客さんが来なくなってしまいます。

こうした状況を顧みず、顧客獲得のために宣伝費に多額の費用をかけたり、新築ビルの着工を行い、その後のビルメンテナンスの委託費を買い叩いてきたことに現在のビルメンテナンス業界の惨状があるということに関して言えば、ホテル経営者やビルオーナーにも責任があると言えます。

ただ安ければよいという時代が徐々に終わりを迎えているということは、どの業界にも言えることです。もちろんビルメンテナンス業界も例外ではありません。

全体的な賃金上昇と人手不足は、ビルメンテナンス業界では他の業種よりも遅れていますが、現在の掲示の賃金では人が集まらないという現状を踏まえて、緩やかな上昇基調に入っています。

いずれはビルオーナーなどにも委託費の上昇という形で賃金上昇の影響が出てくるものと考えられます。

そうなった場合に、契約を他業者に変更を検討するオーナーなどもいらっしゃるかとおもいますが、今までが安すぎたのだという認識を持つことも重要です。

ビルの清掃業界はなくてはならない業種であるということには今も昔も代わりはありません。

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